木苺の棘
広がる波紋

愛を量る

あの頃の八重は
両親が離婚した事もあって
ぼーっと遠くを見つめては
何かを考えている時が
多かった。

「ヤエ、聞いてる?」

「うん、聞いてるよ
 タマキ先輩の歌声にギター
 早く聞いてみたいね?」

「うん、文化祭までなんて
 待ってられないよね?」

そんなある日
いつものように先輩と
並んで登校していると
チアキ先輩が勢いよく
駆けて来た。

「どうした、チアキ?
 そんなに慌てて・・・」

「タマキ
 決まったぜ、ライブ
 兄貴の知り合いのバンドが
 仲間割れして出れなくなって
 その穴埋めに、俺達に
 どうかって、どうよ
 タマキ?」
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