木苺の棘

ありすの夢

足早に歩く、爪先の部分が
尖がった黒い靴は病院外に
停まっている車に近づく。

車内には、高校の頃の親友
濱田こと、ハマと
その、お姉さんの姿。

「どうだった、タマキ君?
 アリスちゃんには逢えた?」

「いえっ・・・」

「そう」

「姉ちゃん、そのおしゃべり
 いい加減、何とかしろよ
 人騒がせな」

「知らなかったのよ・・・
 アリスちゃん、彼女が
 タマキ君の亡くなった
 彼女の友達だったなんて
 私・・・
 
 ごめんなさい」

「反省しろよ」

「でも、まさかタマキ君を
 連れて、アンタが病院に
 戻って来るなんて
 驚いたわ」
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