ハルジオン。

(二)

(二)


曇天模様の空を、数羽の雀がじゃれ合うように飛んでいく。

達也は窓の外を横目に見ながら、気怠げに頭を掻いた。

枕元の時計に目を遣る。

AM10:45

もうすぐチェックアウトの時間だ。

重い頭を引きずりながら、ユニットバスの洗面所に向かう。

蛇口を捻り、冷水を顔にぶっかけると、ほんの少しだけ目が覚めた。

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