ハルジオン。

(四)

(四)


雨上がりの森はどこか騒然としていて、そのくせいやに静かだった。

相変わらずアキトは喋らない。

達也もまた、無言で前を歩く少年について山道を歩く。

静かだ。

なのに、心が騒ぐ。

どれくらい歩いただろうか。木々の隙間から空を見上げると、太陽がずいぶんと登っているようだった。

腕時計に目を遣る。

針は、目覚めた時と同じく六時を少し回ったところで止まったままだ。

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