世界を敵にまわしても

不器用連鎖



「あ、あの子じゃない?」

「あー、晴に言い寄ってるって奴?」

「え? 黒沢って子の顔利用して男漁りしようとしてるんじゃなくて?」

「どっちにしてもナイわー」


廊下を歩いてるだけで、そんな事を言われるようになって早2日。


いい加減言われ慣れたけど、イラッとすることは変わらない。


でもコレと言って何かされたわけじゃないから、悪口くらい耐えれるけど。


……問題は、クラス内。


2時間目の休み時間。教室に入ったあたしは真っ先に机に向かい、その上に置かれた紙を拾い上げる。


『男たらし』と書かれた紙を見つめていると、クスクスと笑う菊池さんたちの声。


あたしは気にせず、グシャッと片手で握り潰してゴミ箱へ捨てに行った。


その時丁度ミキ達が教室に入ってきたところで、目が合ってしまう。


あたしの姿を視界に捉えたミキ達は体を強張らせたけど、逃げるように前を通り過ぎて行った。


……脆いもんだな。


なんて、最初から友情を築いてたつもりのないあたしが言えることじゃないけどさ。


そんなちゃぶ台をひっくり返すような勢いで、180度態度を変えられると……。


「今日は黒沢、遅刻みたいだねぇ~?」

「……」


一旦思考を停止させて、傍に来た菊池さん達を見据える。


「さみしーねー」

「何か他のクラスでも噂になってるよ~?」


自分たちで広めといてどの口が言ってるんだ、本当に。
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