モテ男と地味子の初恋物語

紬side

「ねえ紬。桂木君がまたフリーになったって、アンタ知ってる?」

休み時間。次の英語の授業の予習をしていたら、友達の米山明日香が頭の上から私に声を掛けて来た。

「知るわけないでしょ? そんな事」

私は英語の教科書に目を落としたまま、素っ気なく答えた。

桂木君は1組の男子で、学校一のモテ男。

背が高くて、栗色の髪を風になびかせて、確かに見映えはいいと思う。

でも、どうしようもない女たらしで、来る者拒まずで誰とでも付き合い、そして簡単に女を捨てる、という噂。

言ってみれば女の敵と言っていいチャラい男。私が最も嫌いな人種だ。
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