ヴァンパイアの花嫁 番外編③

ベッドの上に座わったティナの隣に腰掛けたレオンは、血のように赤い液体が入ったグラスをティナの口にあてた。



「飲みなさい 喉が渇いただろう」



人間を久しぶりに見たティナは血を欲しているはずだった。



空色の明るい瞳が今は赤くなっていた。



生理的欲求に人間の血を求めないのは新米ヴァンパイアにとって並大抵のことではない。



口元にグラスをあてられてティナはコクッと赤い液体を飲んだ。



これは家畜の血と、ワインを混ぜた飲み物だ。



口にそれを入れた途端に、ティナの顔が歪んだ。



「美味しくない……」



家畜の血はティナには苦手のようだ。



レオン自身も、おいしいと思って飲んだことがない。



「もっと飲みなさい 瞳の色が戻っていない」



レオンはグラスの中身をクイッと口に含むと、ティナの顎を持ち上げ唇を重ねた。



つーっとレオンの口からティナの口へと流れていく液体は美味しくないものからもっと欲する液体に変わっていく。



ティナは夢中でレオンの口付けを欲した。



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