光を背負う、僕ら。―第1楽章―

思い出す過去

窓から外を見れば、バケツをひっくり返したような雨が降り続いている。



季節はもう、梅雨。



学校に行く時は、傘をさしていても濡れてしまう状況だ。



おかげで制服は湿ったままだし、髪の毛だってタオルで拭いても濡れたまま。



校舎内の空気も、どこか湿って感じる。



あたしは降り続く雨の様子を、自分の席から眺めていた。




「佐奈ー!」




突然呼ばれた自分の名前。



呼ばれた方に振り向く。




「佐奈、手伝って!」




振り向くとそこには、たくさんのプリントを抱え持つ明日美と流歌の姿があった。



あたしは


「はーい。」


と返事をしながら、席を立って二人のもとへ行く。




「うわぁ、すごい量のプリントだね。」




思わず口を大きく開いて驚いた。




「なんか英語の先生がさ、集めてたプリントを返すの忘れてたとか言って、いっぱい渡してきたの。いくらなんでも溜めすぎだし。」



明日美がそう言いながら、自分と流歌が持っていたプリントを三等分に分ける。




「さすがに英語係でも、三人でこれはきついよね…。」


と流歌は苦笑い。



あたしもつられて苦笑いした。





< 115 / 546 >

この作品をシェア

pagetop