悪魔なキミと愛契約

白い塊




「あっ!!
シキーー!!」


屋敷の廊下を歩いていたシキを大声で呼んだ。


驚いた様子でクルリと振り返ったシキ。



「サラ様。
どうかなさいましたか?」


シキのもとへ駆け寄り、厨房に連れて行ってほしいとお願いした。


「厨房?
一体、何をなさるんですか」


「魔界から帰ってきたルカに作ってあげたいものがあるの」


私が言うと、シキは眉間にグッとシワを寄せた。


「食事の用意ならシェフがいたします。
ご希望のものがあるのでしたら、今夜の夕食は変更できるかと」

「それじゃダメなの!!」


首を傾げるシキ。


「夕食は夕食で作ってもらいたいんだけど、その前にルカに食べてもらいたいものがあるの」


「………?」


「シキ、お米はある?」


「はい。
米ならございますが……」


頭にハテナマークを浮かべるシキに、私はフフ~ンと笑ってみせた。




< 62 / 317 >

この作品をシェア

pagetop