流華の楔
最良の薬
新選組は今回の功績により、朝廷から百両、会津公から五十両を賜った――…
「はじめまして。山崎烝と申します」
あまりに唐突過ぎて、どう反応してよいやら迷う。
土方に『紹介したい男がいる』と言われ、今対面しているのは監察方の山崎烝。
無口といえば無口だが…かといって喋るのが嫌いなわけではないらしい。
「……はじめまして。あの、つかぬ事伺いますが…忍者の変装中ですか?」
「いえ。これが俺の普通です」
「なるほど」
全身真っ黒が普通とは一体。
監察方は大変なんだな、と痛感。
「…てなわけだ。同じ監察方同士仲良くしてくれ」
……。
………。
「同じ?」
「監察方同士?」
妙な間のあと、二人は土方を凝視する。そんなこと一言も聞いてないのだけれど、と。
「言ってなかったか?」
「はい」
「全然」
しかも監察してる人間が監察方ってそもそもどうなのだろうか。