流華の楔
想い。
その日の夕方。
道場で剣の稽古をしていた和早は真剣を携えた土方と遭遇した。
土方も彼女がいたのは予想外だったようで、気まずそうに「あ、」と言って去ろうとした。
「土方さん」
名を呼べば、肩を揺らして立ち止まる。
「…な、なんだよ」
「最近、私と顔も合わせようとしませんよね」
「…んなわけねぇだろ」
そんなわけないならなぜ焦る必要があるのか。
視線を逸らす土方に、詰め寄る。
「やはり、この前の件ですか」
「だ、だから違…」
「違うなら、何故」
廊下ですれ違った時も。
島原に飲みに行った時も。
ずっと、避けられていた理由は。