五里霧中

《責務の傍で》




《二人の話し》


部屋の中は真っ赤に染まっていた。


私に伸しかかって首を絞めていたはずの母親ははるか遠くに転がっている。


何が起きたのかわからない。


ただ、私の涙はすっかり止まっていた。



視線を巡らせて、辺りを見回す。


だけどそこには何もない。


一面に広がる、赤。



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