君を想うとⅢ~True love~

ヒーローはあなた



会社で見せる桐谷慎はカンペキで隙のないオトナな男。



だけど…
本当の彼は不器用で繊細で傷つきやすくて…子どもみたいな人。






しゅーちゃんに見せてるあの顔は偽りの大人の仮面だから。

私から見れば二人とも大した変わりはないんだけどなぁ……。







「桐谷慎は全然オトナじゃないよ?
ワガママだし寂しがりやだし…。しゅーちゃんと同じ普通の男の人だよ?」








彼を元気づけようと呟いたその一言は。






「いいよ、もう。
変に慰められたら余計ミジメになるだろーが。むなしくなるだろーが!!」




藤堂スネ夫と化したしゅーちゃんの手によって、完全に右から左へと聞き流されてしまったのであった。






「どうせ俺はガキくせぇもん……。」






そう言って。
私を抱きしめながら時をやり過ごそうとする、卑怯なしゅーちゃん。








うーーん。
どれだけスネれば気がすむんだろう……。








いじけ虫のしゅーちゃんに少しだけ腹がたって
文句を言ってやろうと息を吸い込むと






「だから…
背伸びすんのはもうヤメだ。」








キッパリと
意志の強い瞳で、しゅーちゃんはそう言い放った。



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