歳の差レンアイ、似た者同士。

宇宙人現る

***

夏も近づく6月。

梅雨に入ったというのに、今日は珍しく快晴だ。

いつものように病棟の雑用を済ませて、渡り廊下から空を見上げていた。

そこに、慌ただしく走ってくる足音。

やーな予感…

「イザキ!いいところに!」

「なんだよぉ~」

「ちょ、頼みたいんだけどさっ」

首からぶら下げた聴診器を直しながら、同期の道重が走ってきたのだった。

「緊急オペに呼ばれちまってさ、外来の当番変わってくんない?」

「なにぃ~?」

「わりぃ、この借りは必ず返すから!」

オレの返事も待たずに、すでに走り出してやがる。

「明日の昼飯おごれよ!」

オペ室に走っていく後ろ姿に向かって叫ぶと、振り返って、手で大きな丸を描いた。

あああ~。

嫌になるよ。

優秀な同期を持つとさぁ、自己嫌悪に陥るわけさ。

道重は研修医のときに世界初のオペで助手に抜擢されて、そのナイスアシストっぷりが上の先生方の目にとまったらしい。

執刀医クラスの先生たちから、わざわざ指命で助手に入ったりしてる。

今の緊急オペだって、オレが呼ばれてもよかったのに、あえて道重。

やるせねぇ…。




「はい、いいですよ」

「先生ありがとうございました」

「お大事にね」

外来診察室。

たまに診察の当番がまわってくるけど、心臓外科医としてはオペしてるほうが楽しいしやりがいもある。

つまんねぇな~。

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