御曹司の溺愛エスコート

蒼真の婚約者

蒼真がトランクを開けると、南条の後ろに控えていた黒のワンピースに白いエプロン姿のメイドが桜のスーツケースを受け取った。


「お帰りなさいませ。蒼真様」


南条が言う。


「ただいま。愛理さんは来てる？」

「いらしております。奥様と応接室でお待ちを」

「わかった」


愛理さん……蒼真兄さまの婚約者だ。


桜がアメリカから来た理由は、蒼真と愛理の婚約パーティーに呼ばれたからだ。
２人への婚約プレゼントは桜の小さなスーツケースの場所の大半を占めている。


蒼真が屋敷の中へ入っていく。


「桜様もどうぞ」


南条に言われ、蒼真の後を追った。




応接室には変わらずに美しい伯母と、シャーベットオレンジ色のワンピースを着た女性がお茶を飲んでいた。
優雅に足を組んだ姿が美しい。いかにも育ちが良さそうに見える。


ふたりが入ると若い女性は立ち上がり、笑顔を浮かべて蒼真に近づいた。
そして当たり前のように頬を差し出す。


「いらっしゃい。愛理さん」


蒼真が愛理の頬にキスをする。


「お帰りなさい。お疲れになったでしょう？」


心配そうな笑みを蒼真に向ける彼女は美しかった。



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