龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】

夕食の時は最悪で

わたしの隣は圭吾さんっていうのはいつも通りなんだけど、彩名さんはいないし、向かい側に容子オバサンと梓さんが座ってる。


なんだか見張られてるみたい。


ご飯を食べながらみんなの話を上の空で聞いていた。


容子オバサンが何かしゃべり続けている


政治なんて興味ないわ


梓さんがしきりに圭吾さんに話しかける


何とかフィルのコンサート?
行こうと思った事もない


あ~つまんない

後で美幸に電話しようかな


あら? 急に静かになった

げっ! 皆さん、わたしを見てる?

何? 何? 何なの?


「志鶴?」

「うわっ! はいっ! 何っ?」

うろたえて回りをキョロキョロすると、圭吾さんの手がのびてわたしの顔を自分の方に向けた。

「さっきから僕が呼んでいる」

「ごめんなさい。ちょっと考え事を……」


圭吾さんと目が合った途端、昼間 ひざの上に抱き上げられた記憶がどっとよみがえって、わたしは真っ赤になって目を伏せた。


「本当にシャイだな」

圭吾さんがため息混じりにつぶやいた。
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