愛して。【完】

“水川真梨”






【光side】




ん……だよ、アイツ…


一々…ムカつくんだよ。


毎回毎回……


人のこと、バカにした様に…ッ!


そのくせ、俺達を見る瞳は闇に染まってるのに、強がってるようにしか見えなくて。


たまに見せる悲しそうな瞳は、俺の…俺達の心の奥をくすぐる。




「あたしは、その“スキ”って感情自体抱いたことなんてないし。
それを理解しようとも思ってない」


「あたしは乗った男と寝ただけ。悪いことをしたとは思わない」




俺を睨んでそう言った時も、




「敬語、使いたくないなら使わなきゃいいじゃん。つーか、あたしに敬語なんて使ってどうなんのよ。
蓮達にそうしろって言われたとか、何か理由あんのかもしれないけど…


あんた達がそんな風にあたしに話し掛けてたら、こっちが気持ち悪いわ。鳥肌立つ。
…特に、光」




眉間に皺を寄せてそう言った時も、




「してやったって、偉そうに…
それが上に立つ人の態度なわけ?

普通、上に立てば立つほど、頭さげなきゃいけないんじゃないの?」




怒った様にそう言った時も、




「知ってるわよ、そんなこと。
でも、あたしにあんたをわかるわけないように、あんたにもあたしがわかるわけない。


何も知らないくせに、知ったようなこと言わないでよっっ!!」




ついさっき、俺にそう怒鳴った時も。








< 152 / 404 >

この作品をシェア

pagetop