失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】

崩壊と堕落




固いものが背後から押し入ってくる

薬で感じやすくなった身体に

鋭い快楽の衝撃が走る

「んあっ!」

「キツイな…いつもキツイな」

そう言って無理やりこじ開けて

「あはぁっ!」

いつもそこで

僕は漏らしてしまう

それが…たまらないって

「あっは…垂れ流し始めたなぁ

ダメだ…それ見ると出ちゃうよ

オレも」

そいつの骨ばった手で

僕のモノがまさぐられ

僕は身体を反らせて喘ぐ

そいつの指が僕の体液で

ドロドロに汚れていく

「お前…お前なんで…なんで

俺に…抱かれてるんだ?」

モウロウとすると必ず訊く

何度でも聞きたいんだよ

言えよ…なんで身体…開いた?

僕もモウロウと答える

「壊して…欲しかった…から」

「俺に…か?」

「ああ…あんたに」




本当は

もう壊れてた

救いようのないほど



あの教会から

錯乱して

逃げて

走って

歪んだ景色と柔らかい舗道を

転びながら

あてもなく走って逃げて




神父の断罪は

例えようもなく優しかった

だけど世の裁きは

僕らにとって

いつも苛酷でしかなかった




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