ワンダフルエラー
暗闇ジャック
自分の気持ちに気づいてしまった夜から、数日が経った。
「……ふぅ」
自然と溜息をついている自分がいた。
あの日以降、何をするにも十夜の陰がちらついて仕方がない。
それまでの様に、普通に接すればいいだけの話なのに、今まで無意識に行っていたことを意識的に行うのは想像以上に難しいことだった。
「辛気くせえよ!」
ぺかん、と頭を叩かれた。
顔を上げればそこには、うざったそうに顔を歪めている英二がいた。
「……はァ…」
もう一度、大袈裟に英二の目の前で溜息をついてみた。
英二のこめかみが苛立ちでぴくっとしている。うざい女ですみませんねぇ。ふん。
真帆に相談できればいいのだけど、最近心配かけてばかりだという負い目がなんとなくわたしを踏みとどめていた。
「どーしたんだよ」
英二は仕方なさそうにそんな言葉をわたしにかけた。