あなた色に染まりたい

思い出したくない



梅雨に入り、ジメジメと蒸し暑い日が続くようになった。



七月に入った頃、美香、悟、蓮と食堂でランチしていた時のこと。



「来週のサークルの飲み会行きますかぁ?」



同じサークルの二年、貴子が出欠をとりに来た。



定期的に開かれるサークルの飲み会。


幹事が順番に変わる。


きっと今回の幹事が、貴子なんだ。



「行くー!」



と、声をそろえる三人に反して、あたしは



「行かない。」



と答えた。



一番驚いてたのは、蓮。



当然の反応だと思う。


あたし、飲み会が大好きだもん。


いつも真っ先に飛び付くのは……あたしだから。



でもこの時期の飲み会だけは行けない。





三年前、大輝と付き合うことになったきっかけが、この時期の飲み会だったんだ。



美香と悟は知ってるから何も言わない。



昨年も一昨年も、この時期の飲み会にだけ行かなかった。


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