あやとり

大人の事情

「あのさ、話は変わるけれど、わたし、アルバイト辞めなさいって言われちゃった。どうしよう」

「え、どうして？なんかまずいことでもあったの？」

気を利かせて話を変えてあげたら、もうすっかり、普段の出来のよい姉の顔に戻っている。

その変わり様が私の心を嫌な音で刺激する。気分が悪い。

「受験勉強に専念しなさいって。お父さんたら、わたしにＲ大に行きなさいって真顔で言うんだよ」

「Ｒ大はいい大学だと思うよ、わたしも」

「そうじゃなくって、無理なんだってば。わたしの頭じゃ無理過ぎ。優ちゃんの婚約破棄の件以来、お父さんもお母さんも変なんだよ？わたしのことに口出すのが多くなって。優ちゃん、責任とってよ」

勢いで言った後で（あ、しまった）と思ったが、言ってしまった言葉は失くすことが出来ないから気にしないことにして続けた。