crocus

馬さんを尊敬するバリスタ


翌朝、開店2時間前。若葉と恭平さんは、白のワゴン車に乗り込もうとしていた。

ワゴン車には、Crocusのロゴなのかコーヒーカップの中に青・白・青の3本のストライプが描かれている。そして、カップの側面には『Crocus』の文字。爽やかで可愛らしいデザインで、女の子は思わず目が行くのではないだろうか。

助手席に座ると同時にドルルンとエンジンがかかった。シートベルトを締めようとすれば、隣の恭平さんもシートベルトを装着している最中で向き合う形になった。

至近距離にいる恭平さんと目が合うと、なんだか少し気恥ずかしくなったけれど、恭平さんは気にすることなく、ふいっと正面に向き直った。

「そ、それじゃあ…い、いくぞ…」

ぎゅーとハンドルを握る手は少し震えている気がする。……もしかしたら、運転が苦手なのかもしれない。若葉は、私が運転出来れば…と免許を持っていないことが悔やまれた。

若葉が小さくなっていたところに突然、隣から窓ガラスを叩く澄んだ音が数回聞こえた。すぐさま振り向けば、そこにはニコニコしている誠吾くんがいた。

スイッチで窓をゆっくり開くと、誠吾くんはくるくると丸めた小さな紙を手渡してきた。

広げて見ると、黒いペンで描かれた地図。
目的地のような場所は赤いペンで丸く囲まれている。

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