定義はいらない

陥落

「住所教えて。」

言われた通りに住所を教える。

「意外に近かったから30分以内には行けると思う。」


文面を読んだ後は私は半信半疑だった。


吉岡太朗がうちに来る。

そんなことが起こるわけない。



したたかに酔っぱらっていた。

ちょっと冗談でメールをしてみた。

それにのって返事をくれた。

それだけだ。

きっとこのまま明日になって

「もしかして本当に行くと思ってたの?」

「そんなわけないじゃないですか!
 家に帰ってすぐあの後寝ちゃいましたよ。」

「だよなぁ~。」

って会話をナースステーションに二人きりなったらするに違いない。
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