定義はいらない

愛人

朝の4時頃に彼は帰って行った。

「今日は奥さんはどうしたんですか?」

「あぁ、実家に帰ってるからね。」

つまり、私が今日メールをしたのは

グッドタイミングだったというわけだ。


彼が帰った後、私は何も考えずに

泥の様に眠った。


6時頃、働かない頭を持ち上げて私は職場へ向かった。

ボーッとする頭で一日仕事をこなした。


夕方、太朗先生とすれ違う。

くたびれている。

昨日の裸がちょっと頭をよぎった。

忘れよう、思った瞬間に目が合う。


「眠そうだね。」

「先生も。」

「眠いな。」

「眠いです。」


忘れなくていいらしい。

その予感は当たった。
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