琥珀色の誘惑 ―王国編―

(6)シークの秘密

ストン、と白い布は舞の足下に落ちた。

突然のアクシデントである。

実際には、「キャー!」という悲鳴など出て来ず、舞は「あ……」と口を開いたまま、凍りついていた。

直後、なんとミシュアル王子は舞の背中に手を回し、思い切り抱き締めたのだ。


(ど、ど、ど、どうしよ……どうなっちゃうの?)


舞の胸が……何も隠すものがなくなった白く張りのある小山が、ミシュアル王子のトーブに強く押し付けられていた。

それだけじゃない。彼の触れている背中も当然“裸”だ。腕や首以外の素肌に初めて王子の指が触れ、その掌の熱さと大きさに、舞は眩暈を覚えていた。


「ア、ア、ル。離して……お願い」

「出来ぬっ」

「アル!」

「今、離れたら、全てが見える。それでも良いか?」


良くはないが、このまま抱き合っている訳にもいかない。

その膠着状態をどうにかしてくれたのはシャムスであった。スッと白い布を拾い上げ、シャムスは背後から舞の身体を覆ってくれた。


直後、ミシュアル王子は飛び退くように舞から離れ、背中を向ける。


「よいか、舞。私はライラのことを聞いたので浴室に踏み込んだ。決して、あられもない姿のお前を、覗き見ようなどという邪な思惑からではない!」


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