雪が降る町~追憶のletter~

3.10年




「はぁっ」


快斗が白い息を確かめる様に大きく息を吐いた。
晶はマフラーで口元を覆って隣を歩く。


「いつ・・・戻ったの?」
「んー…一昨日」
「実家に?」
「とりあえず」


素っ気なくも感じるけど、よくよく思い出したら昔からこんな感じだったかも。
だけどこの変な緊張はなんなんだろう。
きっと久しぶりに見た快斗が大人になってて、知らない男の人みたいだからだ。


「ほ、んと久しぶりだよねぇ?全然帰ってこなかったみたいだし、連絡もこないし」
「出張激しい部署だったからな。海外も行ってたし。連絡は・・・」


『連絡は・・・』?なに?


「携帯ぶっ壊れて」


は?そんな理由?だったら実家にでも聞けばすぐわかるようなもんじゃん。

そう思ったけど、私から連絡をすることもしなかったから人のことは何も言えないと思って言うのをやめた。


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