こちらミクモ探偵事務所4

塔の中の姫


目の前にそびえ立つ塔。
二回目と分かっているが、思わず後込みしてしまう。

「こういう時、高所恐怖症って厄介だよな」

塔を見上げ、青い顔をしている紘哉の背中を思いきり叩く。
紘哉は嫌そうな顔をして恵一を見た。

「……うるさい。別に怖くない」

「だったらさっさと行こうぜ!」

「……」

ここぞとばかりに弱点を突く恵一。

「まぁ、お前より何百倍も羽兎さんの方が、怖い思いしてるだろうな。
早く助けなきゃ!」

「……そうだな」

こんなところでぐずぐずしている場合ではない。
恵一に叱咤され、紘哉は塔へと足を踏み入れた。

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