Line ~何時ものセリフで~

2.

気付けば玄関前

心臓が張り裂けんばかりに痛い
フゥーと息を吐き、震える手で
インターホンを鳴らす

程なくしてガチャリとドアが開き、
驚いた顔の雅人が出てきた

「どうしたんだ?」

当然の反応だ
雅人の家を訪ねるのは初めて

玄関の中に入れてもらい、バクバクと
煩くなり続ける心臓をぎゅっと掴んで
雅人を見上げる

「雅人、何時ものセリフ言って?」

詰まる声を振り絞って言った

「…いきなり、どうしたんだ?」

怪訝な顔を向ける雅人
たまらず視線を反らし

「お願い…」

訳のわからない様子の雅人だが、
今までにない余りの私の必死さに
『わかった』そう言ってあのセリフを
口にしてくれた

「結、俺と付き合おう
妻とは別れられないけど…」
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