彼女は予想の斜め上を行く

強烈な叱咤

「やばい……。恐ろしくアイディアが浮かばない……」



あの強烈で斜め上向きな初デートから、既に一週間以上が経過していた。

『俺、逆転のタイムリー打ちますよ?』

なんて格好のいいことを言っておきながら、未だに行動を起こしていない。

いや。起こせないんだ。


只今、時計の針は午後五時半を指している。

繁忙期以外の残業は工房以外は基本的にNGなわが社において、俺は特別な許可を得て残業中。

と言っても、タダ残業だけど。

残業代なしでいいからやらせてくれと言ったのは、他でもない俺。

あることがキッカケで、それぐらい切羽詰まっている。



「ここらで一息いれっか」

時計を見て呟く。

タイムリミットは、午後六時。

残業NGと共に節電にも力を入れるわが社で、タダ残を許された時間。



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