センセイと一緒 ~feel.White~

2.借り




昼休みの後。

鈴菜は進路相談のため、進路指導室に向かった。

3年から、月曜のこの時間は担任と生徒の面談の時間となっている。


「失礼します」


ブースのドアを軽くノックし中に入ると、尚哉の姿が見えた。

その姿に思わずドキッとする。

尚哉はいつもの穏やかな笑みを浮かべ、椅子を指差した。


「さ、そちらに掛けてください」

「……はい」


鈴菜は椅子に座り、持ってきた進路調査票をテーブルの上に置いた。

尚哉は鈴菜の向かいで、成績表のファイルをパラパラめくっている。


「……森下さんの成績表は……ああ、これですね」


言いながらファイルから鈴菜の成績表を取り出す。

その白い指先に、鈴菜の視線が吸い寄せられる。

記憶の中で笛を吹いていた、あの指先。

鈴菜は思いを振り払うように進路調査票に視線を向けた。



< 69 / 215 >

この作品をシェア

pagetop