センセイと一緒 ~feel.White~

5.運命の夜




――――ここは、どこなのだろう。

ひどく、寒い。

鈴菜は身じろぎした。


闇の中、ぼんやりと何かが浮かんでいる。

あれは……井戸だ。

井戸のところに一人の少年が立っている。

夕凪を映したかのような美しいその瞳。

やがて少年は手にした笛を、口元に当てた。

胸を締めつけるような、切なく美しい旋律が辺りに響く。


『ナオくん……』


ずっと会いたかった人。

鈴菜は必死に手を伸ばした。

けれど、どれだけ伸ばしても……彼には届かない。


『……お前なんか嫌いだ』


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