いつか、眠りにつく日

2、

 未練解消には体力を使うらしく、その日はモデルルームに戻ると深く眠った。


 翌朝もぼんやりとした気持ちが抜けず、昼過ぎになってようやくベッドから起き上がることができた。

「クロ?」

 周りにクロの姿は見えなかった。また上司に報告でもしているのだろうか。

 昨日の祖母との会話が思い出される。未練解消のためには相手の前に姿を見せられる。

 つまり、再会だ。

 でも、その後には今度こそ永遠の別れが訪れる。

 全部の未練が解消すれば相手の記憶は消えるけれど、私には記憶は残る。

 それは幸せなのだろうか。

 自分の未練が何か知らずに逝けた方が、こんなくすぶる想いにまどわされないかもしれない。

「昨日はクロに悪かったな」
思いっきり殴ってしまい、その後もロクに口もきかなかった。

___分かっている。完全に八つ当たりだ

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