御曹司の秘書さんの日常◆

部屋の鍵。


***

「たけしぃ。コレ。」

「ユリコ。・・・何?鍵?」

武は、ブルーのネクタイを緩めながら、ソファーに座るユリコの隣に座る。
ユリコは武のネクタイをするりとほどいて、
軽く ちゅっ と頬にキスを落とす。

「そうよ。ここの鍵。いつ来てもいいから。」

「ふぃーん。いらない。」

武はつまらなさそうに
鍵をテーブルに置き、ユリコの頭を引き寄せて唇にキスをする。

「・・・んっ。」

ユリコの唇を割って、ゆっくりと舌を入れ、
武はユリコをやさしく味わう。


あぁ。めんどくさいな。


武はゆっくりとユリコの唇を解放する。


「ユリコ。俺、帰る。」

「え?なんでっ?」

床におちたネクタイを拾い上げて、
ジャケットを探す。

「なんで?武。帰らないで・・・」

ユリコは武の腰に手をまわして、ぎゅっと抱きしめる。
ふんわりとユリコの甘い香りが武にまとわりつく。

「あー・・だから、そういうの。」

武がつまらなさそうに冷たい視線を投げかける。

「そういうの、面倒だから。」


冷酷にユリコの手を払って、
武は ふぅっとため息をついてユリコに背をむける。

ユリコが何やら文句を言ってるが、
そんなことは耳には入らなかった。

スタスタと玄関へと向かう。


ガチャンっ

冷たいドアの音がユリコ一人の部屋に響いた。

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