ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

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眠りからふと目が醒めると、外はもうとっぷりと暮れていた。

レースのカーテンから、外の月明かりがほんのり差し込んでいる。


あたしは智弘さんの胸にぴったり寄り添って、伝わる体温を感じながら、ぐっすり寝てしまったらしい。

むきだしの腕が、そっとあたしの背中に回されていた。


(やさしい顔してる)


隣で平安な眠りの中にいる智弘さんを見ると、あたしは心から安堵する。

美しい寝顔に、しみじみとした愛情すら感じていた。


(あたしが本当にレイさんだったらよかったのに)


もしそうだったら、どれほどこの人を幸せにできるだろう。

そう思うと、涙がじわりと滲んできてしまう。

これ以上のことはできそうにない自分が、レイさんじゃない自分が悲しかった。


そっと体を離そうとして。

智弘さんの指が、あたしの指に絡まったままになっていることに気づいた。


(あ――)

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