蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】

4.衝撃の事実




翌週の月曜。

───11:45。

絢乃は軽い足取りで、エレベーターホールの方へと向かっていた。

今日は13:00から、大会議室で情報システム部全体の部会がある。

絢乃が所属する運用課は今回、その事前準備の当番に当たっており、13:00までに机や椅子などを揃えなければならない。

その作業は12:45から始める予定なので、昼食の時間が少し前倒しになったのだ。


「今日は何にしよっかな~」


12:00になると社食は人でいっぱいになるが、15分前ならまださほど人はいない。

メニューをゆっくり選ぶことができるだろう。

会議室の準備は面倒臭いが、昼食を前倒しできるのはありがたい。

と思いながらエレベーターホールに入った、その時。


「お、絢乃ちゃん」


横から声を掛けられ、絢乃は足を止めた。

見ると、卓海が廊下の方から歩いてくるのが見えた。

・・・少し長めの艶やかな黒髪に、大人の色気を漂わせた、茶色みを帯びた二重の瞳。

卓海はいつもの爽やかで優美な微笑みを浮かべ、絢乃を見る。



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