バイナリー・ハート

2.取引

 息を飲んで見つめるロイドに、ランシュは表情を緩めると、無邪気な笑顔を向けた。


「とりあえずは様子見という事で、しばらく厄介になります」
「はぁ?」


 思いも寄らないランシュの言葉に、ロイドは思い切り間の抜けた声を漏らす。

 ランシュは気にも留めず、ニコニコ笑いながら言葉を続ける。


「おばあちゃんが亡くなったから、オレ、居場所がなくなったんですよね。それを話したらユイが、しばらくここにいたらどうかって」


 ロイドはすかさず拒否した。


「オレは承知していない! おまえは局に戻れ!」


 意味ありげな薄笑いを浮かべて、ランシュはロイドを見つめる。

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