こちらミクモ探偵事務所5

二つの証拠品


再び現場に戻る。
相変わらず現場にいる捜査員に労いの言葉を掛け、三人はイエローテープを越えた。

「なぁ、やっぱり紘哉はアイツだと思ってるのか?」

「アイツってどいつだ?」

「だから、メモにあった名前だよ」

「あぁ、アイツか」

紘哉は手袋を受け取ると、もう一度信夫の机を物色し始めた。
手を動かしながら、口も動かす。

「『T.Akimoto』……どう考えても、秋元冬也しかいないだろうな」

「あぁ、やっぱり」

秋元冬也(あきもと とうや)。
泣く子も黙る、悪の組織、黒蜜会のボスだ。
甘い見た目に惑わされたら最後、仲間になるか死ぬしかないと言われている。

殺人、窃盗、誘拐、密売と悪いことなら何でもござれの黒組織。
今回の事件も、黒蜜会が一枚噛んでいると言うのだろうか。

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