久遠の花〜 the story of blood~

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『――――すまない』





 謝る声が聞こえる。

 これは……男の人?


『すまない……私は。私は――――!』

『……、……』


 次に聞こえたのは、男の人とは別の小さな声。でも、あまりに小さ過ぎて、なにを言ってるのか聞き取れない。


『止めることが……出来なかった。貴方に一人背負わせてしまったなど……罪人も同じだ!』


 はっきり聞こえるのは、もう、男の人の声だけ。

 景色もなにも見えない、声だけの夢。

 暗い闇の中で聞こえる声は、とても悲しみに満ちていた。


『呪いが私に向かっていれば……』


 呪い? 呪いって……月神君や雅さんにあるのと、同じもの?


『……これならば、私でも逝けるだろうか?』


 カチッ、と金属が擦れる音が聞こえた。

 言葉からして、男性がなにか危険なことを考えているんじゃないかっていうのが、容易にわかる。

 おそらく、目の前には大事な人がいて、死にそうなのに手の施しようがないとか。もしくは、もう死んでしまったんじゃないか。どっちにしても、もし今の考えが合ってたら――きっとこの人。


『これならば、私の心臓をも』


 貫けるはずだ、と言う声が聞こえる。

 やっぱりこの人、死ぬつもりなんだ!

 そう思ったら、私は誰ともわからない人に向かって叫んでいた。死んじゃダメ! そんなことしないで! と、大声で叫び続けた。

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