シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

領域 櫂Side

 櫂Side
******************

◆◆◆


芹霞ちゃんの手にある袋には、

イチルちゃん人形が入っている。


イチルちゃんの為に作った、芹霞ちゃんのハジメテの手作り人形。


いいな。

いいな。


イチルちゃんは芹霞ちゃんの特別なのかな。

僕は特別じゃないのかな。


そう思ったら泣きたい程悲しくて溜まらなかったけれど、だけどこれからは僕に色々なハジメテの手作りをくれるというから。

僕にワンワンを作ってくれるというから。


僕は…凄く楽しみになった。


いつでも僕は――

芹霞ちゃんが僕だけを考えて、

僕だけに作ったものが欲しいんだ。


他と一緒じゃ嫌。

僕だけが芹霞ちゃんの一番で、特別でいたい。


僕だけが。


時々、芹霞ちゃんのことを考えると胸が苦しくなる。

大好きだと思うと、きゅうと胸の奥が音をたてるんだ。

息をするのが苦しくなる。


病気なのかな。

僕…死んじゃうのかな。


だけどね、

芹霞ちゃんとくっつけば。


沢山沢山ぎゅうすれば、

芹霞ちゃんとちゅうすれば。


凄くほわあっと幸せな気分になって、すうって息が出来るんだ。


芹霞ちゃんは僕のお薬だ。


芹霞ちゃん。

芹霞ちゃん。


僕が大好きな大好きな芹霞ちゃん。


「僕ね、芹霞ちゃんだあい好き」

「あたしも櫂がだあい好き」


そして僕達は、顔を合わせてうふふふと笑った。


僕は芹霞ちゃんと手を繋ぎ、


「「ワンワン、ワンワン♪」」


お歌に合わせて、繋いだ手をぶんぶん振る。


「櫂は本当にワンコが好きだね。あたしもワンコ大好き。大きくて毛がふさふさしてるワンコみると、ぎゅうってしたくなっちゃう」


芹霞ちゃんはふさふさが大好き。

長い毛が揺れているのを見ると、体がむずむずしてきちゃうんだって。

だから僕も大きいふさふさワンワン大好きで、ぎゅうしたくなるんだ。


< 95 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop