ホットココアのキミ
進む

アプローチ

しかし、そんな穏やかな日々は新人の本配属によって少しずつ乱れていくのだった。



「矢野さーん。これどうしたらいいかわからないんですけど…」

日常になりつつある桜木さんの甘ったるい声でヤノっちを呼ぶ声。

相変わらず人に聞くことが習慣な彼女の本性をヤノっちも知ってはいるが他の社員の手前それなりの対応をしなければいけない。

それを分かっていても、何となく私の心にはモヤモヤしたものが芽生えていた。

しかも桜木さんのヤノっちに対しての距離が他の男性社員よりも近いのが見え見えで明らかに狙っている…

そして周りのおじさんたちもそれを面白そうに見ている…

それが妙に腹立たしかった…

でも私にはその時の気持ちに気が付くほど余裕はなくて、仕事に追われていた。
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