恋……シヨ?‐武藤 雅晴編‐

Chapter1‐今までよりもっと‐



入学式の退屈な校長先生の話を右から左へと受け流しながら、私は約一年前の会話を思い返していた。



塾の帰り、いつものように私の家の近くまで送ってくれる夜道の途中で、優しい後輩くんは私と同じ高校を受けると言って。

難なく合格した彼は、今日という晴れの日を迎えたんだ。



ここを受験した理由、また今度聞いてみようかな。

だってこれからは毎日会えるんだもん。



『──心花先輩と毎日一緒にいたら楽しいだろうな』



いつだったかそう言ってくれたことを思い出したら、無意識に口元が緩んでしまう。


武藤くんがいるこれからの学校生活を考えると、私は心の中にぱっと花が咲いたような、まさに自分の名前通りのワクワクした気分になっていた。



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