僕が君にできること

エピソード2

「こいつ今超人気なんだろ?なんって言ったっけ?」

「金本秋生でしょ」

「はぁ?そんなダサイ名前じゃないでしょ」

テレビに映るその男を見て我に返った。

「あ~湯川!湯川旬だよ」

慌てる私に彼は気が付いていない。

「朋アイドルに全く興味ないもんな。

うちんとこのマネージャーがメチャメチャ好きでさ、なんとかってグループの1人なんでしょ?

なんでも『抱かれたい男No.1』なんだって?

うちのマネージャーも抱かれたい抱かれたいってうるさいうるさい。

抱かれるわけないっての!」

彼が遠征から帰ってきていた。

次の試合までの間はちょっとスケジュールが楽になり会えるようになる。

それが嬉しかった。

でも何かが心に引っかかる。そう。画面に映るその男のせい。

あなたの彼女この男に迫られたんですけど・・・・。

「朋こういう顔好き?」

唐突な質問に思い切り動揺してしまった。

画面のセクシーな顔ではなくあの子犬みたいな顔が思い浮かんだ。

「あっ…え~どっちかって言うと桜庭みたいな顔がいいな~」

前々から言っていた格闘家の名前を出した。

「朋筋肉好きだもんな。こういうほっそい感じダメだろ?」

もういいよこの人ネタは…。

そういえば…あのシャツの下はやっぱり細いのかな…。

また思い出しそうになった。

「俺の筋肉も好きでしょ?」

そう言って彼が絡みついてきた。

でも・・・・なんだかときめかなかった。

明かりがわりにつけていたテレビには奴の出ているドラマのエンドロールが流れていた。






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