私を壊して そしてキスして

ゴール


彼と一緒の旅行は、それは楽しかった。

結局、平井さんに急かされて、1泊しかできなかったけれど、満開になっているコスモス畑を見に行ったり、とっても柔らかいお肉をいただいたり。


ずっと手をつながれて歩く道の先には、新しい未来が待っている。

彼の優しい笑顔を見ていると、これまでの辛い日々ですら忘れることができそうだった。


彼もまた、とてもリラックスした顔をしていて、一緒に仕事をしていた時とはまるで違う人だった。


鋭い目をしてテキパキと仕事をしていた彼が、まさか私のことをずっと見ていてくれたなんて。

あの頃、彼がボロボロになった私に気が付いてくれなければ、今頃どうなっていたか……。


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