君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)

王子様の憂鬱・・・








あれから、紅茶までしっかりと飲んで城に一番近い森の出口まで送ってもらった。


フローラの言っていたとおり、城を出てからまだ数時間しか経っていなくて、自分の部屋に戻ったのはまだ日が昇ったばかりの頃。

取り敢えず湯浴みをして、新しい服に着替えた。


---そろそろ来る頃だな・・・


そう思っていた矢先に、部屋の扉をノックする音が耳に聞こえてくる。


「入れ」


「おはよ~さん」


扉を開けて、暢気な声で入ってきたのは幼馴染のヴァイス。

俺が王子であるにも拘らず、全く尊敬の念のない話し方をするのはこいつだけ。


ヴァイスを視界の端に捉えながら、無言でソファーに座れば


「全く・・・挨拶くらいしろよな~」


文句を言って、向かいのソファーに腰を掛けたヴァイスは


「ところで、朝も早くから何~処に行ってたのさ?」


ニヤリと意地の悪い笑みを向けながら、俺の顔を覗き込んでくる。


---こいつ・・・いつから見てたんだ?


チッと舌打ちをして、無視していれば・・・


「何だ、あれ?」


何かを見つけたのか、徐に立ち上がって歩いて行く。

その先にある物に気が付いて、やばいと思った時には既にヴァイスの手の中にあった。





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