サクラドロップス

-10-


「ミユキさぁぁぁん!オレの髪どうですか?おかしくないですか?ってかやっぱ今更だけどタキシード黒じゃなくて白の方が良かったです?でも白って何か美少年系じゃないと似合わない気がするし、オレはどっちかって言うと割とカッコイイ部類に入るケド、美少年系ではない気がする・・・」

「ウルサイ、安藤。もうどうでもイイわよ、そこそこ見られるわよ、はいはい、カッコイイ、カッコイイ。とっても素敵☆でね?身だしなみはもう十分だから、アンタは最後の挨拶の暗記をしてきなさい。新郎が手紙読みながら泣くグタグタな式なんて、アタシ、やーよ」

「ぐは!そうでした!!!安藤、今から暗記モードに入ります。ってか籠もります。控え室に。ではサヨウナラ。言わなくも解ってると思いますケド、いつにも増して今日のミユキさんはビューティホーです!あ、アユミちゃんも、またね!!」

と、言って、ばびゅんと安藤は自分の控え室へと消えていった。


「・・・何しに来たの?」

アタシが心の中で思っていたことと、まったく同じ台詞を

アタシの隣に立っているアユミが言った。


「さぁ・・・さっきアッチの控え室に会社の連中が入ってったから、何かからかわれて不安になったんじゃないの?まあ、犬だし、基本的に」

クスクスと、アタシ。

「しかし・・・ユキ姉の選ぶ結婚相手が、まさか安藤さんみたいなオトコだとはネ。ツキ兄にそっくりなひとじゃなきゃ、無理だと思ってたよ、あたし」

同じくクスクスと笑いながら、アユミ。

「イツキと同じようなひとなんて、絶対いないわよ。イツキは特別なんだから。アタシ、今でもイツキより素敵なオトコなんていないと思ってるわよ」

・・・ほんとよ、イツキ?


< 227 / 254 >

この作品をシェア

pagetop