オオカミ系幼なじみと同居中。
・親友
学校に向かう足が重い。
まるで鉛でもついてるみたい。
あたしは学校が好きなのに、こんなに足が重い理由はただひとつ。
とうとう足を前に出す力を失って、あたしは大きな溜息をつく。
「……あの、どうしてついてくるの?」
あたしの数歩後ろを歩いていた、要をジロリと見た。
「どうしてって言われても……俺も同じ方向だし?」
きょとんと首をかしげた要は、フワフワの前髪を揺らしながら、胸の前で進路方向を指し示した。
「……」
むぅ。
そうだった!
同じ学校だったんだ。
あたしは頬を膨らませて要を睨む。
なんかめちゃくちゃ悔しい!
なんでこんなに負けた気分になるんだろう。
あーーもうっ!
「で、でも! もう少し離れて歩いてくんないかなっ」
「そう言われても……お前歩くのおせーし」
面倒くさそうに目を細めると、あたしに追いついた要は挑発するみたいに視線だけをあたしに移した。
「……あ、う……じゃ、じゃあ時間帯ずらす!」
負けたぁ!
絶対敵わない気がする……。
要なんて、大っきらい!
「べー」って我ながら子供じみた反抗をしつつ、あたしはくるりと向きを変えて大股で学校へ急いだ。
そんなあたしの背中にひと言。
「でも朝は起こせよ」
「……っわ、わかってるよ!」
あーっ、なんでよりによってあんなイジワルな奴が同居相手なのよぉ!
ニヤリと笑った要がチラリと見えた。
……絶対キライ……。