何度でもまたあなたに恋をする

決められた結婚

「お茶出し・清掃・電話応対
伝票作成・帳簿転記会計ソフトへ伝票入力、決算処理、請求書作成がとりあえず仕事内容だから」

とんでもない契約とペナルティを言い渡された後、しれっと仕事モードに切り替わる清水さん。正直、そんなすぐに切り替えられてもこっちはついていけない。さっきから一階に移動して丁寧に仕事内容を説明してくれているけれど頭に入ってこない。しかもさっき一階にいる奴になんて言ってたけど実際はみんな現場に出払っていて誰もいなかった。

だから二人きりでパソコンの指導を聞いているとあの一目惚れした清水さんの姿が垣間見れてドキドキする。それにさっきは子供っぽくて荒っぽい口調だったのに仕事モードだからかギャップを感じてそれもあるのか余計に緊張もしてる。

「おい、ちゃんと聞いてるか?」

コツンと頭を小突かれる。全く聞いてなかったのに「聞いてます」と返すと「嘘つけ」と更にまた小突かれた。

「すみません。なんだかさっきの清水さんと同人物だとは思えなくて」

「お前が惚れた男になってたってこと?」

「・・・はい。でもなんだか違和感もあるんです。あたしが見てた清水さんはスーツで大人の男だったのに今はその・・
・」

「作業着でデキる男じゃねえってことか。でもな、仕事には真剣だぜ、俺」

うん。それは仕事モードの清水さんを見ていて分かる。頭に入ってきてないけど一生懸命説明してくれているから。でも、どうしてスーツじゃなくて作業着を着てるんだろう。
< 12 / 37 >

この作品をシェア

pagetop