恋人たちのパンドラ【完】
第三章 壊れゆく今

(1)それでもあなたに戻れない

「だから、覚悟して。∸―もう逃さないから」

壮介からそのように宣告された悠里だが、悠里の覚悟は甘かった。

最近朝目覚めると、悠里のスマホには必ずと言っていいほど壮介からの着信及び、メールがある。

その内容は他愛もないもので、それが何でもない内容であればあるほど、悠里の日常に壮介の日常が入り込んできているようだった。

もちろん内容など確認せずに、削除してしまえば済むのだろうが悠里がそうできないのを壮介が分かっているのがなお悔しかった。

そして今――――

どうしてこうなっているのだろうか・・・・。
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