淡い初恋

裏切り

私は誕生日当日、近くのスーパーへケーキの材料の買い出しに出かけた。「今日は、龍くんがうちに来てお泊りだ!」龍くんがケーキじゃなくて私の方が先食べたいなんて言ってきたらどうしよう!キャー!!と一人で興奮していたため周りの主婦達に変な目で見られた。私は肩を竦めるとそそくさと買い物を済ませ、スーパーを後にした。近くにあるショッピングモールのデパ地下に行くと「あぁ、完成されたケーキの方が良かったかぁな。」とちょっと後悔した!でも、愛情たっぷりに作れば喜んでくれる!ってか、私がお祝いされる方なのになんで私が作るんだ?今更素朴な疑問が浮上したけど、まぁ、いっかと思うと私はルンルン気分でレディースショップにも来てみた。

可愛いのがいっぱい置いてあるなぁと見ていると、そのフロアの雰囲気には似つかわしくない一際目立った男の人を見つけた。ん?と見ると龍くんがレディースショップの店の前で立っていた。え!?なんで龍くんがここに!?でも、こんなところで会えるなんて嬉しい。話しかけようと思った瞬間、信じられない光景を目撃した。彼の視線の先には早坂玲奈さんがいた。

え!?なんで彼女が一緒にいるの?そう思ってると彼女が私の存在に気づいたのか、私を一瞥すると彼女が笑顔で龍くんに話しかけた。会話の内容までは聞き取れなかったけど、しばらく影で様子を見ていると早坂さんが龍くんの腕に抱きつき、二人は一緒に店を出てどこかに行ってしまった。

何、今の光景。なんだったの?怖くて追いかける事ができない。どうゆうことなの、龍くん?

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『そろそろ、気づいたら?絶対他に女が出来たから千堂くん面倒くさくなったんだよ。』

『やっと気づいたの?』

『ってか、身の程知らずなんだよ!千堂くんのように立派で素敵な人には玲奈の方がお似合いなんだっつーの!』

『千堂くんって優しいから、同情で付き合ってあげてるのよ。でも、早く彼の気持ちに気づいてあげてね?』

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ねぇ、龍くん、そうなの?私じゃ物足りないから早坂さんとも付き合ってるの?ねぇ、そうなの?ひどいよ、龍くん。寄りによって私の誕生日に浮気するなんて、本当にひどいよ・・・・・。
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