深層融解self‐tormenting◆番外編◆

 No kidding!

長時間のフライトが、これほど苦痛でこれほどヒヤヒヤしたものだった事はかつて、ないと思われる。





普通、機内で飲むなら大人しく飲むでしょうよ!? それなのに、修学旅行の高校生かってぐらいにこの3人は酷かった。


他人のふりをする蒼季、3人を宥めて回りにフォローを入れるクリス。


クリスってば全然イタリア人らしくないよね。どっちかと言うと一緒に騒ぐのがイタリア人っぽいんだけどね。





飛行機からユーロスターに乗り換えたら乗り換えたで、みんなでイビキかいて寝てるし。


ホント、この人達何しにイタリアに行くんだろ?




イタリア行きを最初に決めた時の悲愴感はどこへやら、今ではそんな事も忘れて吹っ飛ぶぐらい眉間にシワを寄せている。


……時間が余ったら、せっかく蒼季とトスカーナ巡りでもしようと思ってたのに!絶対この人達邪魔してくるよ、見え見えだよ!






私はもう、着いた時には疲労困憊していてぐったりだった。疲れてる時にはイタリアの強い日差しは痛すぎる。


クリスが手配していたのか、迎えの車に皆で乗り込んで、一先ずはお祖母ちゃんの農場に向かう。お祖母ちゃん家は広いから、全員が泊まっても問題ないからいいけどさ……。



クリスは自分の家に帰るんだって言ってた(とは言っても隣だからすぐ合流するらしい)。




そして見えてました、お祖母ちゃんの葡萄畑。


ここまで来ると、1年振りとは言え懐かしい気分になる。果てしなく広い葡萄畑を通り抜ければ、大きいけど素朴なお祖母ちゃんの家。


いつもだったらお祖母ちゃんが玄関まで出て迎えてくれるのに…。


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